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障害年金の相談先はどう選ぶ?広告表示から見分けるための5つの視点

障害年金の相談先はどう選ぶ?広告表示から見分けるための5つの視点

「『障害年金相談センター』というところに問い合わせたが、公的な機関だと思っていた」
「『受給率100%』と書いてあったので、任せれば大丈夫だと思った」
「『成功報酬』と書かれていたが、3級で決定したことは失敗だったのだろうか」

福岡市博多区の当事務所に、こうしたご相談が寄せられることがあります。すでに他の窓口に依頼した後で、話が違うと感じてご相談にいらっしゃるというケースです。

結論から申し上げます。障害年金の相談先を選ぶときは、「名称」や「宣伝文句」ではなく、その事務所が障害年金という制度をどのように扱っているかをご覧ください。

判断の手がかりになるのは、次の3点です。

  • 誰が対応するのかが明示されているか(事務所名、社会保険労務士の氏名、登録番号、所在地)
  • 結果について、実現できないことを約束していないか
  • 障害年金を「勝ち負け」として扱っていないか

とりわけ3つ目は、見落とされやすい視点です。障害年金は、成功や失敗を競う手続きではありません。 この記事では、その点を含めて、相談先を選ぶ際の5つの視点を整理します。

なお、特定の事業者を批判する趣旨ではありません。 ご自身で判断していただくための材料としてお読みください。


なぜ「表示のしかた」が問題になるのか

障害年金は、依頼した側が内容を検証しにくい分野です

障害年金の手続きは、初診日の確認、診断書の依頼、申立書の作成と、専門的な判断が積み重なります。依頼した側が、その内容が適切かどうかを自分で判断するのは難しいというのが実情です。

さらに、審査の結果が出るまでに相当の期間がかかります。問題があったとしても、それが分かるのはずっと後になってからという構造があります。

不安が強い時期に、急いで探すという事情

障害年金を調べ始めるのは、多くの場合、体調が優れず、収入も不安定になっている時期です。

  • じっくり比較検討する余力がない
  • 検索して最初に目に入ったところに連絡してしまう
  • 「なんとかしてくれそう」という言葉に頼りたくなる

この状態そのものは、まったく自然なことです。 だからこそ、最低限どこを見ればよいかを、あらかじめ知っておくことに意味があります。


注意点1:行政機関と誤認させるような名称

まず、公的な相談窓口を知っておいてください

障害年金について、公的に相談を受け付けている窓口は次のとおりです。

  • 年金事務所(日本年金機構)
  • 街角の年金相談センター(設置状況は地域によって異なります)
  • お住まいの市区町村の窓口(障害基礎年金に関する手続きの受付など)
  • ねんきんダイヤル

これらは、いずれも相談に費用がかかりません。

「センター」という言葉だけでは、公的機関かどうか判断できません

インターネットで検索すると、次のような名称が並ぶことがあります。

  • 「障害年金相談センター◯◯」
  • 「障害年金受給サポートセンター」
  • 「障害年金サポート機構」

これらの多くは、民間の事務所が用いている名称です。 公的機関ではありません。

「センター」「機構」「サポート室」といった言葉は、公的な機関を思わせる響きを持っています。そのため、行政機関と誤認されるおそれのある名称の使用は、社会保険労務士の広告に関する考え方に照らして問題となり得ます。

これは、依頼する側が「公的な窓口だから安心だ」と誤解したまま、有料の契約に進んでしまうことを防ぐための考え方です。

名称ではなく、運営者の表示を確認してください

判断すべきは、名称ではなくその裏側の表示です。ウェブサイトの中に、次の情報が明示されているかをご確認ください。

  • 運営している事務所の正式名称
  • 社会保険労務士の氏名
  • 社会保険労務士の登録番号
  • 事務所の所在地(住所が番地まで記載されているか)
  • 連絡先の電話番号

これらが見当たらない、あるいは探さないと見つからない場合は、いったん立ち止まってください。

なお、障害年金の請求について、報酬を得て書類の作成や提出代行を業として行うことができるのは、社会保険労務士に限られています。 依頼先が社会保険労務士であるかどうかは、必ず確認してください。


注意点2:受給率などの数値を強調する表示

「受給率100%」が判断材料にならない理由

「受給率100%」「受給決定率98%」といった数値を掲げる表示があります。

この種の数値は、分母が示されていなければ意味を持ちません。

  • 何件の依頼のうち、何件が認められたのか
  • 途中で辞退した案件、受任しなかった案件はどう扱われているのか
  • 集計の期間はいつからいつまでか
  • 誰が、どのように集計したのか

受任する案件を選べば、数値は高くなります。 見込みが立ちにくい案件を受けなければ、割合は当然に上がります。つまり、その数値は「実力」ではなく「受任の方針」を示しているにすぎない場合があります。

結果を約束することはできません

障害年金の認定を行うのは日本年金機構です。社会保険労務士が行えるのは、事実を正確に整理し、必要な資料を揃えて請求することまでです。

したがって、次のような表現は、実現できないことを約束するものとなります。

  • 「必ず受給できます」
  • 「絶対に認められます」
  • 「当事務所なら通ります」
  • 「誰でも対象になります」

不安を煽る表現にもご注意ください

  • 「今すぐ動かないと損をします」
  • 「知らないと一生もらえません」

急がせる表現が前面に出ている場合は、慎重にご判断ください。 期限のある手続き(不服申立てなど)については事実として説明が必要ですが、それと契約を急がせることは別のことです。


注意点3:「成功報酬」という表現について

ここが、この記事でもっともお伝えしたい点です。

「成功報酬」という表示は、費用の説明としてよく見かけます。しかし当事務所では、この表現を用いていません。 費用が不明瞭になるからというだけでなく、障害年金という制度の趣旨から外れた受け取られ方をしかねないと考えているためです。

障害年金は、勝ち負けを競う手続きではありません

障害年金は、障害の状態を、定められた基準に照らして確認する仕組みです。

請求する側が何かを勝ち取る手続きではなく、その方の状態が基準に該当するかどうかを、資料に基づいて確認していくという性質のものです。

ここに「成功」「失敗」という言葉を持ち込むと、制度の性質とは異なる印象が生まれます。

「3級での決定」は、失敗なのでしょうか

たとえば、次のような場合を考えてみてください。

  • 2級に該当すると考えて請求し、3級と判断された
  • 3級に該当すると考えて請求し、障害手当金の対象と判断された

「成功報酬」という枠組みで説明すると、これらは「成功」なのか「失敗」なのかという問いが生じます。

しかし本来、等級は障害の状態に応じて定められるものです。3級と判断されたということは、その方の状態が3級に相当すると確認されたということであり、それ自体を失敗と呼ぶべきものではありません。

にもかかわらず、「成功/失敗」という言葉の枠組みに置かれると、3級で決定を受けた方が「うまくいかなかった」と感じてしまうことがあります。実際に、そうしたお気持ちを抱えたままご相談にいらっしゃる方がおられます。

これは、制度の趣旨から離れた受け取られ方です。

不支給の決定も、ご本人の「失敗」ではありません

不支給の決定を受けた場合も同様です。

不支給とは、提出された資料に基づいて判断した結果、その時点では基準に該当すると認められなかったということです。ご本人の努力が足りなかったということでも、人格が否定されたということでもありません。

ところが「成功報酬」という言葉が前提にあると、不支給という結果が「失敗」として受け止められます。

  • ご本人が、自分が否定されたように感じてしまう
  • 「もう自分には無理だ」と、次の検討をやめてしまう

実際には、資料を補って再度検討する余地がある場合もあります。 それにもかかわらず、「失敗した」という受け止めが、次の一歩をふさいでしまうことがあります。

障害が軽いことを「失敗」と呼ぶ枠組みの問題

もう一点、見過ごせない問題があります。

「成功/失敗」という枠組みは、障害が重いほど良い結果、軽いほど悪い結果という価値の並びを、暗に含んでしまいます。

しかし障害年金は、障害の状態に応じて必要な給付を行う制度です。状態が軽いと判断されたことを「失敗」と呼ぶ言葉づかいは、この制度が何のためにあるのかという趣旨から外れています。

だからこそ、言葉の選び方には慎重であるべきだと考えています。

では、費用はどのように確認すればよいのか

「成功報酬」という言葉を使わないとしても、費用の説明は必要です。 むしろ、言葉に頼らず内訳を示すことが本来のあり方だと考えています。

依頼を検討される際は、次の項目が示されているかをご確認ください。

  • 着手金の有無と金額
  • 報酬が発生する条件(どの段階で、何に対して発生するのか)
  • 報酬の算定の基礎(受給額の何か月分か、年額の何%か、定額か)
  • 等級によって報酬が変わるのかどうか
  • さかのぼって受給できた場合の扱い
  • 実費(診断書の作成費用、証明書の取得費用、交通費、郵送費など)
  • 更新(障害状態確認届)の際に、別途費用が発生するか
  • 決定に至らなかった場合の取扱い
  • 途中で解約する場合の取扱い

口頭の説明だけで進めず、書面(または契約書)に記載されているかをご確認ください。

その場で契約を求められた場合は、いったん持ち帰って構いません。 検討する時間を認めない相談先は、その時点で判断材料になります。


注意点4:初回の相談で、断定的な説明をする

初回の面談は、多くの場合、ご本人の話を伺い、書類をこれから集めていく段階です。

この段階で、

  • 「間違いなく2級です」
  • 「すぐに認められます」

といった断定的な説明がなされた場合は、その根拠を確認してください。

診断書も、初診日の証明も、まだ手元にない段階です。確かなことが言えないはずの局面で言い切ることは、誠実な説明とは言えません。

適切な説明とは、たとえば次のようなものです。

  • 「初診日がどこになるかによって、請求できる制度が変わります」
  • 「現時点では判断できないため、まず◯◯を確認しましょう」
  • 「認定を行うのは日本年金機構であり、結果をお約束することはできません」

注意点5:誰が実際に対応するのかが分からない

名義だけの関与になっていないか

社会保険労務士としての名義だけを貸し、実際の業務を資格のない者が行うことは、社会保険労務士法上、認められていません。

大規模に集客している窓口の場合、

  • 問い合わせに応じるのは誰か
  • 面談を担当するのは誰か
  • 書類を作成するのは誰か

これらがそれぞれ別の人物であることがあります。それ自体が直ちに問題となるわけではありませんが、最終的に責任を持つ社会保険労務士が誰なのかは、明確である必要があります。

「担当してくださる社会保険労務士のお名前を教えてください」と尋ねて差し支えありません。 明確な回答が得られない場合は、慎重にご判断ください。

守秘義務について

社会保険労務士には、業務上知り得た秘密を守る義務が課されています。これは資格を離れた後も続くものです。

障害年金の相談では、病歴、家庭の事情、収入の状況など、極めて個人的な情報を伝えることになります。その情報がどのように扱われるかについて、説明があるかどうかも確認の視点になります。


社会保険労務士に課されている基本的な考え方

参考として、社会保険労務士がどのような立場に置かれているかを整理しておきます。

信用失墜行為の禁止と、品位の保持

社会保険労務士は、社会保険労務士の信用や品位を害するような行為をしてはならないとされています。誇大な広告や、誤認させる表示は、この考え方に照らして問題となり得ます。

秘密を守る義務

業務上知り得た秘密を、正当な理由なく他に漏らしてはならないとされています。

名義の貸与の禁止

資格のない者に名義を利用させることは認められていません。

業務広告についての定め

社会保険労務士の団体においても、業務広告のあり方についての考え方が示されています。 誇大な表示、事実に反する表示、依頼者を誤認させる表示は、これに反するものとされています。

具体的な規定の内容は改正されることがあります。詳細については、全国社会保険労務士会連合会または都道府県の社会保険労務士会にご確認ください。


相談先を確認するときのチェックリスト

問い合わせる前に、次の項目をご確認ください。すべてが揃っている必要はありませんが、複数当てはまらない場合は慎重にご判断ください。

ウェブサイトで確認できること

  • 事務所の正式名称が記載されている
  • 社会保険労務士の氏名が記載されている
  • 社会保険労務士の登録番号が記載されている
  • 事務所の所在地が、番地まで記載されている
  • 電話番号が記載されている
  • 費用の内訳(着手金、報酬、実費)が示されている
  • 結果を保証する表現が使われていない
  • 受給率などの数値を、根拠なく強調していない
  • 等級の決定を「成功」「失敗」として扱う表現が使われていない

問い合わせのときに確認できること

  • 担当する社会保険労務士の氏名が分かる
  • 費用の総額の見込みについて説明がある
  • 決定に至らなかった場合の取扱いについて説明がある
  • 断定的な見通しを示さず、確認すべき事項を挙げてくれる
  • その場での契約を求められない

よくあるご質問

Q. 「障害年金相談センター」は、公的な機関ですか。

A. 名称に「センター」と付いていても、公的機関とは限りません。多くは民間の事務所が用いている名称です。公的な相談窓口は、年金事務所、街角の年金相談センター、お住まいの市区町村の窓口などです。運営者の表示を確認してください。

Q. 「受給率100%」と書かれていました。信頼できますか。

A. 分母が示されていない数値は、判断材料になりません。受任する案件を選べば割合は高くなるため、その数値が何を示しているのかを確認する必要があります。また、障害年金の認定を行うのは日本年金機構であり、結果を保証することはできません。

Q. なぜ「成功報酬」という言葉を使わないのですか。

A. 障害年金は、障害の状態を基準に照らして確認する仕組みであり、成功や失敗を競う手続きではありません。「成功/失敗」という枠組みを持ち込むと、3級で決定を受けた方が「うまくいかなかった」と感じたり、不支給の決定をご本人の失敗として受け止めたりすることにつながりかねません。これは制度の趣旨から外れた受け取られ方だと考えています。

Q. 3級で決定しました。これは残念な結果なのでしょうか。

A. 等級は、障害の状態に応じて定められるものです。3級と判断されたということは、その方の状態が3級に相当すると確認されたということであり、それ自体を失敗と考える必要はありません。なお、その後に状態が重くなった場合の手続きも設けられていますので、必要に応じてご相談ください。

Q. 行政書士に障害年金の請求を依頼できますか。

A. 報酬を得て、障害年金の請求に関する書類の作成や提出代行を業として行うことができるのは、社会保険労務士に限られています。依頼先の資格については、事前にご確認ください。

Q. すでに契約してしまいましたが、不安があります。

A. まずは契約書の内容をご確認ください。解約に関する条項がどうなっているか、費用の取扱いがどう定められているかが出発点になります。ご不明な点があれば、社会保険労務士会や消費生活センターにご相談いただくこともできます。


まとめ

  • 名称ではなく、運営者の表示を確認してください。 「センター」と付いていても公的機関とは限りません
  • 公的な相談窓口(年金事務所・市区町村の窓口)は、費用がかかりません
  • 受給率などの数値は、分母が示されていなければ判断材料になりません
  • 結果を保証する表現は、実現できないことを約束するものです
  • 障害年金は、成功や失敗を競う手続きではありません。 等級は障害の状態に応じて定められるものです
  • 費用は「成功報酬」という言葉ではなく、内訳の書面でご確認ください
  • 担当する社会保険労務士の氏名と登録番号を、確認して差し支えありません
  • その場での契約を求められた場合は、持ち帰って検討して構いません

障害年金の手続きは、急いで決めなければならないものばかりではありません。 期限のある手続き(不服申立てなど)を除けば、比較して選ぶ時間をとっていただいて差し支えありません。


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