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映画「君たちはまだ長いトンネルの中」鑑賞。感想はひとこと、「痛快」。

こんにちは、福岡市博多区の社会保険労務士・FP(ファイナンシャルプランナー)の井村太郎です!

経済に明るい方々に特に注目されていた映画、「君たちはまだ長いトンネルの中」を福岡での公開初日に鑑賞しました。

感想はひとことで言うなれば「痛快」でした。

概要・あらすじなど

高校生たちが日本の未来を問う社会派青春ストーリー。

元財務省の父、高橋陽一郎(川本成)の影響をうけていた高橋アサミ(加藤小夏)は、高校3年生にして、政治に対し人一倍強いイデオロギーを持っていた。それゆえ、政治経済の授業でも、疑問に思ったことを先生に問いかけ、論破するほど。外部相談役の二階堂議員(萩野崇)から注意を受けても、自分で調べ自分で辿り着いた答えを曲げることはなかった。

とはいえ、まだアサミはどこにでもいる女子高生。彼女ひとりでこの国を救えるわけもなく、自分ができる事といえば、父が他界したのち面倒みてもらっている親戚・長内夫婦(モト冬樹・かとうかず子)の店や、衰退していく商店街を少しでも盛り上げることぐらい。

最初の頃、アサミをクラスの厄介者だと思っていた同級生の安倍(北川尚弥)や中谷(定本楓馬)も、少しでも自分たちの未来を明るくしたいと奮闘するアサミの姿や行動を見ているうち、次第に応援するようになる。

ある日、アサミと中谷は商店街のお祭りについて取り上げてもらおうと地元の若手新聞記者の荒畑(高橋健介)に掛け合いに行く。

その帰り道、元戦隊ヒーローとして活躍していたタレント議員の武藤(蒼木陣)と遭遇する。

またとないチャンスと思いアサミは、武藤に駆け寄り「総理大臣に会わせてほしい」とまさかの直談判。

そのあと、急展開がアサミに巻き起こる・・・。

20年以上デフレとパンデミックに見舞われたこの国で、自分たちに何ができるのか、その問いを青春映画として昇華した異色の作品。

https://www.kimiton.com/#synopsis

原作と経済監修

原作は『マンガでわかるこんなに危ない!?消費増税』。

この原作の解説と映画の経済監修をしているのは、京都大学教授の藤井聡氏。

藤井氏は、平成24~30年に安倍政権で内閣官房参与を務めていたこともあり、ご存じの方も多いのではないでしょうか?

藤井氏はいわゆる「積極財政派」として有名ですが、ご尽力もむなしく、結局、安倍政権では十分な積極財政は行われずデフレ脱却も叶いませんでした。

厳密にいえば、アベノミクスの第1の矢である『大胆な金融政策』は一貫して行われていましたが、デフレ脱却に極めて重要な第2の矢『機動的な財政政策』は(安倍政権初期の一時期だけしか)行われませんでした。

また、第3の矢である『民間投資を喚起する成長戦略』は、途中からネオリベ政策(例えば、規制緩和や構造改革、自由貿易など)に中身がすり替わっていましたね。

なお、藤井氏いわくこの映画のジャンルはエンタメ映画とのこと。

主人公の高橋アサミの名前は、かつて首相や蔵相を務め、1930年代の恐慌を積極財政により克服したことで有名な高橋是清からとった模様。

余談ですが、藤井氏は私の憧れの三橋貴明氏ともよく関わりがあり、過去には安倍元総理とともに会食されており、当時は「ついに積極財政が行われるか!?」と胸が躍った記憶があります。

感想

冒頭から、貨幣や経済、税の役割などの「誤った通説や常識」を論理的に喝破するさまは痛快でした。

例えば以下の通り。

  • GDPについて
  • 名目賃金と実質賃金の違い
  • 「国の借金」と「正しい貨幣知識」など

また、クライマックスの生放送特番のシーンでは、先輩議員に「余計なことを言うな。」と釘を刺されていた若手議員が耐え切れずに積極財政について熱く語り、そのさまは藤井氏を彷彿させるようでした。

作中での若手議員の「この国の政治家を動かせるのは、あなたたち一人ひとりの意識しかないんです。」という発言はまさにその通り。

日本国民・有権者の圧倒的多数が誤った認識(貨幣観や経済観など)であり、それら誤った認識で選ばれた政治家が誤った経済政策を行う。

日本の景気が一向によくならないのは、当たり前すぎるほど当たり前のことなのです。

「だれに投票しても同じ。どの政党に投票しても同じ。」なんてことはありません。

正しい貨幣観や経済観をもった政治家や政党を選べば、日本の景気は劇的に良くなります。

なお、素人の純粋な意見としては、(キャストなどにケチをつける意図はないのですが、)例えば主演の高橋アサミ役を乃木坂46の方にしたり、男子高校生役をジャニーズの方にしたらもっと世間の注目を浴びたのでは、と少し残念に感じました。もちろん、予算の都合もあるのでしょうが…。本当に多くの方に観てもらいたい名作なのです。

最後に

現在のように多くの国民が貨幣やマクロ経済について「誤った認識」では、政治家に正しい経済政策を行わせることができません。

正しい経済政策が行われてこなかったことは、先進国で唯一、25年にも及ぶ長期デフレである日本の経済情勢をみれば明らかでしょう。

もちろん、この映画を観ればいきなり経済に明るくなれるということはありませんが、これまで政治経済に興味が無かった方、誤った貨幣観・経済観の方に、正しい貨幣観やマクロ経済、税の役割などを学ぶきっかけをくれます。

福岡では、7月15日(金)よりKBCシネマで上映開始。

「これまでの政治観や経済観を改めるきっかけをくれる名作」だと思います。ぜひ多くの方々に観ていただきたいです。

最後に一言。

「この国の政治家を動かせるのは、わたしたち一人ひとりの意識しかないんです。」

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